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2020.04.21

『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』

『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文・尾原和啓、日経BP

※時間のない方はこちらをご覧ください。

アフターデジタルとは?

この本のタイトルにある「アフターデジタル」とは、オフラインが一切なくなりオンラインが普通の状態になった世界を指しています。常時オンラインの状態となると、デジタルとリアルは区別されなくなります。言い換えれば、リアル世界がデジタル世界に包含される状態となります。これだけ聞くと、何となく無機質で寂しい世界に感じるかもしれませんね。

 

アフターデジタルは、言い換えればOMOOnline-Merge-Offline)を意味します。OMOとは、オンラインとオフラインを一体として考え、オンライン上での戦い方や競争原理として捉える考え方を指します。

 

より柔軟な発想が可能

ちょっと抽象的なので、もっとわかりやすく説明しますね。本来デジタルの世界は理想行動ができる世界です。ですので、デジタルを起点に考えれば、より自由な発想ができますよね。

 

そして、顧客目線で言えば、自分の都合に合う選択肢があれば非常に便利です。

 

例えば、食べ物を買いにスーパーに行くのが面倒な時ってありますよね。そんな時は、自宅に配達してくれるサービスがあったら便利です。しかも、注文から30分以内に届くとなれば最高です!会社を出る前に注文をしておき、家についたときに丁度食材が届いていたら助かります。

 

これは、中国のフーマーという会社の例です。フーマーでの購入は全てアプリで行います。直接店舗に行って購入することもできるし、アプリで注文して30以内に配達してもらうこともできます。といっても、配達エリアは店舗の3km圏内です。

 

リアルとデジタルの境目がなくなる

何が言いたいかというと、OMOというのは、リアルとデジタルの境目をなくすことで、顧客の利便性に着目して、めちゃくちゃ便利な仕組みを作るというビジネスモデルだということです。つまり、デジタルが進化していくと、リアルとデジタルの差がないので、顧客としてはどちらを選択しても良いわけです。顧客はどんなサービスがあったら便利かな?と考えることがOMOつまり、アフターデジタルの世界なのです。

 

リアルチャンネルは高付加価値

しかも、アフターデジタルの世界では、リアルチャネルは密にコミュニケーションを取れる貴重な接点になります。ですから、より高い体験価値や感情価値が求められるようになります。つまり、リアルチャネルは高付加価値商品となり得るということです!

 

そう考えると、どれだけ顧客を喜ばせられるかという商売の基本をより実践できた者が勝つ世界になると言えるでしょう。AI化で仕事が奪われるという悲観的な考えをする前に、今後どうしたら顧客を喜ばせられるかを考えることが、デジタル時代を生き残る鍵となりそうですね。

 

むしろ、AIによって自動化することで得られた大量のデータをもとに、顧客の欲しいタイミングで、欲しい商品を提供できるようになることを目指すのがアフターデジタル時代の戦い方になります。

 

「常時寄り添い型」へ

「行動データとエクスペリエンス(顧客体験)のループを回す」ことと、「最適なタイミングで、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーションで提供する」ことがアフターデジタルで企業が目指すべきことになります。単一接点型から、常時寄り添い型になるとも表現できます。

 

まとめ

アフターデジタル型に世の中が変わることで、ビジネスもOMOに変わります。そして、顧客に提供する体験が良くなり、行動データが取得でき、接点に返すというループが回り、エクスペリエンス(顧客体験)の競争社会となります。

このエクスペリエンス型競争社会では、エクスペリエンス×行動データの変革を行うことが重要になるため、それを行うためのビジネスモデルとしてOMO型バリュージャーニー(継続型の価値提供モデル)のビジネスに変える必要があります。日本におけるこの活動の肝はボトムアップ型アプローチをすることです。

これがこの本で展開されている考えのまとめとなります。

 

日本は対面で付加価値を提供することが得意な国です。ですので、デジタル化することで人間関係が希薄化するのでは?と懸念されるかもしれません。

それは、デジタルを現在の仕事の付加価値として定義付けしているからではないでしょうか。そうではなく、リアルとデジタルの境目がなくなる時代では、利用する側が利用しやすい選択肢を選べるようになり、より便利な世界になります。

ですので、顧客の行動データを大量に集め、顧客の行動パターン等を高度に予測できるようになることで、顧客の欲しいタイミングで、欲しい商品を提供できるようになります。したがって、より顧客を幸せにすることができる企業が勝ち残る時代になると言えるでしょう。

 

【記事の執筆者】

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