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目次
1.はじめに:建設業許可と実務経験の関係
建設業許可制度は、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事の請負を適法に行うための許可制度です。
その中で「実務経験」は、専任技術者として許可要件を満たすための重要なポイントになります。
実務経験に関する要件は、技術力と現場管理能力の裏付けとされ、申請審査で詳細にチェックされます。
建設業の許可要件には、経営業務の管理責任者や財務基盤の要件などもありますが、
専任技術者要件としての実務経験は最も難関ポイントのひとつです。
2.なぜ実務経験が必要なのか?制度の背景
建設業許可制度が実務経験を重視する理由は次の通りです:
- 建設工事は複雑でリスクが高く、技術管理能力が不可欠
- 事故防止や工事品質を担保する必要
- 許可後の履行力を確保するため
つまり「現場に関する知識・経験が豊富で、施工管理まで行える人物である」と
行政庁が認めるための実務経験の証明が重要になるのです。
これは、単なる勤務年数の積み上げだけではなく、経験内容の「質」が問われる要件です。
3.建設業許可で求められる実務経験の年数
一般的に、専任技術者として建設業許可を得るために必要な実務経験の年数は以下の通りです(なお、所定の国家資格等をお持ちの方は実務経験が不要となる場合が多い):
◎ 原則:10年の実務経験
専任技術者としての価値を判断する基準として、
10年以上の実務経験が基本となります。
これは、現場経験だけでなく、施工管理・工事計画・調整など実務全般の経験を含めた期間です。
ただし、単に「10年以上建設会社に勤めていた」というだけではなく、
工事に関与し、工事性がある実務経験である必要があります。
◎ 指定学科・資格による短縮
国家資格や指定学科を修了している場合には、実務経験年数を短縮できる制度があります。
これは「実務経験 10年ルール」の例外として重要な裏ワザです:
|
条件 |
実務経験必要年数の目安 |
|
指定学科卒(大学・短大等) |
3年以上 |
|
指定学科卒(専門学校・高校等) |
5年以上 |
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国家資格取得者(施工管理技士等) |
資格取得後0年、1年以上、3年以上、5年以上のいずれか(資格と申請業種による) |
※ 注意:指定学科かどうか・どの資格が該当するかは自治体の運用により微妙に異なる場合があります。
申請前の要件確認が必須です。
4.実務経験としてどこまで認められるか?
実務経験は単なる在籍年数ではなく、工事実務に関与していた内容が重要です。
認められる実務経験には次のようなものがあります。
実務経験として認められる例
- 現場監督として工事管理に従事した経験
- 職人として工事に従事した経験
- 設計技術者として工事に関係した業務
- 工事の段取り・工程管理に関与した経験
- 工事請負契約から履行までに関わった経験
実務経験として認められにくい例
- 単なる雑務や事務作業
- 工事と関係が薄い補助作業
- 工事準備だけ(工事に入る前の準備作業のみ)
5.実務経験の年数のカウント方法
実務経験年数は原則として、「連続した就労期間」としてカウントされます。
ただし、重複期間の計上・転職等による断続的な経験などについては細かなルールがあります。
カウントの基本ルール
- 1年を 12か月 として積み上げる
- 同じ期間は 重複カウントできない
- 複数の工事に同時に関与していても、1年は1年 ─ 重複計上は不可
例:●か月の経験カウントのしかた
令和2年1月10日~令和2年3月15日までの工期の内装工事があった場合、内装工事の実務経験3か月のカウントができる(1月・2月・3月にまたがっているから)
※この考え方で120か月分の実務経験を
例:同一期間中の重複カウント
令和2年4月1日~令和2年5月31日までのA現場で内装工事をおこない、令和2年4月20日~令和2年5月5日までのB現場で内装工事を行った場合、重なる期間はあくまで1月分までしかカウントできない(今回の場合4月と5月に2つの現場に行っているが、あくまで4月と5月の2月分しかカウントできず、4か月にはならない)。
例:同一期間中の重複経験
令和2年4月1日~令和2年5月31日までのA現場で内装工事をおこない、令和2年4月20日~令和2年5月5日までのB現場で電気工事を行った場合、重複している4月と5月の実務経験は内装工事としての実務経験か、電気工事としての実務経験のいずれかしか選ぶことができず、どちらも2か月分の実務経験とカウントすることができない。
6.実務経験の証明方法:何を出せばいいか
実務経験は、単に「申請書に数字を書く」だけでなく、
証明できる書類を揃えて添付することが不可欠です。
実務経験証明書とは
実務経験証明書(建設業許可申請書添付書類 様式第9号)は、
専任技術者としての実務経験を証明するための書類であり、
申請書とともに提出が求められます。
この証明書には、
- 経験を証明する者の氏名・住所
- 被証明者との関係(元社員・上司など)
- 経験期間・内容
などを記載し、証明します。
証明に使える代表的な書類
下記のような実務証明に必要な資料がよく使われます:
- 決算変更届出書の工事経歴書(実務経験を証明する期間に所属していた事業者が建設業許可業者だった場合)
- 工事請負契約書(契約相手の押印があり証明力強い)
- 注文書・発注書(発注者の押印があり証明力強い)
- 請求書(領収書)と通帳の写し(御社の押印しかなく証明力が弱いため追加で入金確認が必要)
書類の選び方と注意点
- 工事名・工期・金額・工事内容(業種)が分かるものを選ぶ
- 対象工事が該当業種であることを読み取れること
- 請求書だけでは「何の工事か分からない」場合は補足資料が必要
7.実務経験証明書の具体的な記載方法
記載のポイント
実務経験証明書は、以下の要素を丁寧に記載します:
- 被証明者(申請者)の基本情報
- 証明者の基本情報(会社名・住所・代表者等)
- 実務経験を示す工事ごとの詳細
- 工事名称
- 工事内容(業種として説明)
- 工期(具体的な年月)
- 被証明者の役割・担当業務
- 在籍期間が確認できる証拠(労働記録など)
複数社での経験証明
複数社で経験がある場合、それぞれについて
個別に実務経験証明書を作成し、合算する形が一般的です。
8.よくある実務経験証明の失敗パターンと回避法
失敗① 書類の内容が曖昧
注文書や請求書に工事名が入っていない、
工事内容が読み取れない書類は審査で認められません。
➡ 回避法:工事ごとに工事名・業種・期間を分かる証拠を揃える。
失敗② 期間の重複を二重計上
複数の現場で同一期間に関与していても、
その両方を別々にカウントしてはいけません。
➡ 回避法:期間を整理して重複がないように計算する。
失敗③ 前職の会社から証明を得られない
退職した会社が協力してくれない場合がありえます。
➡ 回避法:元雇用主に直接交渉するか、建設業許可業者での直近の経験であれば閲覧請求をする。
9.実務経験と専任技術者要件の関係(まとめ)
実務経験は建設業許可での専任技術者要件の中核です。
基本方針として、
- 資格保持者:経験年数が短縮可能(経験不要、1年以上、3年以上、5年以上のいずれか)
- 指定学科卒:経験年数が短縮可能(3年以上 or 5年以上)
- 無資格・非指定学科:原則10年以上必要
という理解でよいですが、
各自治体の運用や書類解釈は微妙に異なる場合があり、
申請前に専門家の助言を得ることをおすすめします。
10.実務経験が不足している場合の対策
対策① 指定学科・資格取得
大学・短大・専門学校で指定学科を修了
または国家資格を取得することで、経験年数のカウントが大幅に短縮されるケースがあります。
対策② 現状資料の整理と証拠集め
既存の契約書・請求書・通帳・工事日報など
申請に使える証拠を丁寧に集め直すだけで、
申請可能な経験年数になるケースもあります。
対策③ 行政書士の助言を活用
実務経験証明書の作成は専門性が高く、
「この書類で有効か?」の判断や添付書類の選択に迷う点も多くあります。
専門行政書士に依頼することで、実務経験証明書作成だけでなく、申請全体の成功確率を上げられます。
11.まとめ:実務経験という要件の本質
建設業許可における実務経験は、
- 年数(量)だけでなく、内容(質)を見る
- 書類で具体的に証明する
- 証明書作成には専門知識が必要
という3つの側面を理解することが重要です。
そして、実務経験の証明が成功するか否かは、
許可取得の可否そのものを左右するポイントです。
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