建設業許可における経営業務管理責任者(経管)の経験年数を完全解説 ― 5年の考え方、証明方法、足りない場合の対処法まで ―

建設業許可における経営業務管理責任者(経管)の経験年数を完全解説
― 5年の考え方、証明方法、足りない場合の対処法まで ―

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はじめに|「経管の経験年数が足りない」と言われた方へ

建設業許可の相談で、最も多く聞かれる言葉の一つが、

「経管の経験年数が足りません」

という指摘です。

「10年以上建設業に関わってきた」
「現場経験なら誰にも負けない」
「個人事業主として長年やってきた」

それでもなお、
建設業許可の申請が止まってしまう最大の理由が
『経営業務管理責任者(経管)の経験年数』
です。

この記事では、

  • 経管とは何者なのか
  • 経験年数は何年必要なのか
  • どの経験がカウントされるのか
  • どんな証明が必要なのか
  • 経験年数が足りない場合にどうすればいいのか

を、制度面だけではなく実務目線で徹底解説します。

1.経営業務管理責任者(経管)とは何か?

経管とは「現場責任者」ではない

まず重要な前提として、
経管とは、現場の責任者ではありません。

経管とは、建設業法上、

「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」

と定義されています。

つまり、

  • 工事を施工した経験
  • 職人としての腕
  • 現場監督としての経験

ではありません。

経管に求められているのは「経営」経験です。

経管で求められるのは、次のような経験です。

  • 工事を受注する立場だったか
  • 見積・契約・請求に関与していたか
  • 資金繰りや人員配置に関与していたか
  • 経営判断に関わっていたか

つまり、
「建設業を経営する者としての経験」が問われます。

2.建設業許可で必要な「経管の経験年数」は何年?

現在の建設業許可制度では、
経管の経験年数について、原則として

建設業の経営業務に関して5年以上の経験

が必要とされています(建設業法施行規則第7条第1号イ⑴)。

(※なお、この他にもいくつかのパターンがありますがここでは割愛します。)

この「5年」という数字は非常に重要ですが、
誤解されやすいポイントでもあります。

3.「5年の経験」とは何を指すのか?

原則:5年以上

よくある勘違いが、

  • 建設会社に5年以上勤めていればOK
  • 建設業界歴が5年以上あればOK

というものです。

しかし実際には、

経営に関与していた期間が5年以上

である必要があります。

認められやすい立場の例

次のような立場は、経管として評価されます。

  • 法人の代表取締役
  • 取締役・役員
  • 個人事業主(建設業の)
  • 支店長・営業所長(実態が伴う場合)

一方で、

  • 単なる従業員
  • 現場作業員
  • 職長・班長

だけの立場では、
経管の経験としては評価されません

4.経管の経験として認められる具体例

法人役員としての経験

法人であれば、

  • 代表取締役
  • 取締役

などの役員として、建設業を営んでいた期間は、
経管経験として認められます

ポイントは、

  • 建設業を目的とする会社であること
  • 実際に工事を請け負っていたこと

です。

個人事業主としての経験

個人事業主の場合も、建設工事を請け負っていた実績があれば、
経管経験として認められます。

従業員でも「実質経営者」だった場合

形式上は従業員でも、

  • 見積・契約を任されていた
  • 工事の受注判断をしていた
  • 実質的に会社を動かしていた

という場合、
経管経験として認められる「可能性」があります。

ただしこれは、

  • 職務内容の証明
  • 職制上の地位の証明
  • その役職期間の証明

などの客観資料が不可欠で、難易度は高めです。

5.経管の経験年数はどうやって証明する?

経管経験の証明は「書類勝負」

経管の経験年数は、
口頭説明では一切認められません。

すべて書類で証明する必要があります。

よく使われる証明書類

  • 法人登記簿謄本(役員在任期間)
  • 確定申告書(個人事業主)
  • 工事請負契約書
  • 請求書・領収書
  • 通帳(入金履歴)

重要なのは、「この人が、この期間、建設業の経営に携わっていた」

第三者が見ても分かるかどうかです。

6.経管経験証明でよくある失敗例

失敗① 古すぎる経験の場合

登記上は役員でも、

建設業をやっていたかどうかは、建設業許可業者の場合は決算変更届、許可業者でない場合は契約書や注文書、請求書等で証明することができます。

しかし、例えば10年前の経験を証明したいと考えた場合、10年前の資料がもう廃棄されていて、証明書類が揃わないということがよくあります。

失敗② 役員に登記するのが遅すぎた

例えば、家族経営のような会社の場合、社長が「息子を役員に入れるのはまだ早い」といって、役員に入れずに急逝されるということがあります。

この場合、息子さんが会社を継ごうとしたときに、役員経験がないため経管の要件を満たさないということがあります。

しかし、この場合でも、先代の社長が息子さんに業務のほとんどを任せていて、「建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者」として証明できる場合には、経験になれる可能性があります。もちろん難易度は上がります。

失敗③ 証明期間が途切れている

  • 途中で廃業している
  • 空白期間がある
  • 書類が一部欠けている

こうした場合、
5年連続の証明ができないことがあります。

7.経管の経験年数が足りない場合の対処法

対処法① 補完できる経験を洗い出す

実際には、

  • 別会社での役員経験
  • 個人事業主時代の実績
  • 建設業関連会社での経営関与

など、
見落とされがちな経験があるケースが非常に多いです。

対処法② 役員構成を見直す

会社によっては、

  • 別の役員を経管にする
  • 親族を役員に入れる

ことで、
要件を満たせる場合もあります。

対処法③ 経管補佐・育成を前提にする

どうしても現時点で足りない場合、

  • 経験年数が溜まるまで待つ
  • 経管要件を満たす人材を迎える

という現実的な選択もあります。

8.経管の判断は「自治体+実務」で変わる

非常に重要な点として、

経管の判断は、自治体と個別事情で変わる

という現実があります。

同じ経歴でも、

A県ではOK

B県ではNG

ということは珍しくありません。

だからこそ、

  • 書類の組み方
  • 経験の見せ方
  • 説明のロジック

が極めて重要になります。

9.なぜ経管は行政書士に相談すべきなのか

経管要件は、

  • 条文を読んでも分かりにくい
  • グレーゾーンが多い
  • 事前相談の質で結果が変わる

という特徴があります。

「ダメと言われた=絶対に無理」ではありません。

経験の整理と証明の仕方次第で、
結果が変わるケースは非常に多い
のです。

まとめ|建設業許可における経管の経験年数の本質

  • 経管は「実務」ではなく「経営」の経験が問われる
  • 原則5年だが、他にもいくつかパターンがある
  • 年数よりも「証明できるか」が重要
  • 経験不足に見えても、解決策はある

建設業許可 経管 経験年数で悩んでいる方は、
一人で判断せず、
一度、実務を理解している専門家に相談することが
最短ルートになります。

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