建設業許可と法人化(法人成り)の完全ガイド|これから法人化を検討する建設業者が知るべき全ポイント

はじめに:建設業許可と法人化は「切っても切れない関係」

建設業を営むうえで多くの方が直面する選択が「個人事業主か法人か」です。
特に、建設業許可の取得・運用と法人化は密接に関係しており、どのタイミングで法人化するかによって、申請手続きや許可の扱いが大きく変わります。

本記事は、以下のような方に向けて書かれています:

  • 個人事業主として建設業を始めたが、これから法人化を検討している
  • 法人化して建設業許可を取りたい
  • 個人事業主の許可を法人へ引き継ぎたい
  • 法人化後の許可申請手続きがよく分からない

という建設業者・経営者の方です。

▶「一人親方(個人事業)でも建設業許可を取得する方法を徹底解説!」はこちら

1|建設業許可と「法人化(法人成り)」とは?

法人化(法人成り)とは、個人事業主として営んでいた建設業を、法人(会社)として組織化することを指します。
建設業許可は、個人・法人を問わず絶対に必要な許可ではありませんが、請負契約で一定以上の金額になる場合には必要となります。

法人化する・しないは経営戦略の一つですが、建設業許可に関しては次のポイントが押さえておくべき要素になります。

2|法人化のメリット

2-1. 社会的信用の向上

法人化すると、対外的な信用力が高まるという大きなメリットがあります。
特に元請企業・金融機関・採用での評価が高くなる傾向があります。

2-2. 節税・財務面のメリット

個人事業主よりも法人の方が、損失の繰越期間が長いなど税務面で有利になるケースがあります。例えば、赤字(欠損金)の繰越期間が法人化すると最大で10年まで可能です。

2-3. 経営継続性の強化

法人は組織として存続するため、代表者の変更や万が一の時でも事業が止まりにくい点がメリットです。これは建設業のように工期が重要な業種では特に有利になります。

3|法人化のデメリット

3-1. 法人設立の手間と費用

法人化には登記費用・定款作成・登録免許税などの初期費用がかかります。株式会社であればおよそ22〜25万円、合同会社で10〜11万円程度が目安です。専門家を使う場合は専門家に支払う報酬額もかかります。

3-2. 社会保険加入の義務化

個人事業主と違い、法人は社会保険加入が義務となるため、保険料負担が増える可能性があります。

3-3. 決算処理の複雑化

法人化すると税務・会計処理・決算業務が複雑化します。税理士に依頼するなど、支援体制を整える準備が必要です。

4|建設業許可取得と法人化の関係

4-1. 法人化前に許可を取得した場合

個人事業主として建設業許可を取得した場合、法人化しただけでは、その許可は継続されません。
法人として改めて建設業許可を取得する必要があります。

これは、建設業許可が申請者(個人/法人)を対象とした資格であるためで、法人化によって主体が変わるからです。

もっとも、後ほど説明する建設業許可の認可という手続きによって、個人事業を法人化した法人に事業をそのまま引き継ぐ(譲渡する)ということができます。

4-2. 法人化後に許可を取得する場合の注意点

法人化後に建設業許可を取得する場合、本店所在地・資本金・役員構成・実務経験者の要件などを満たす必要があります。また、法人としての工事実績がない場合の書類の整備にも工夫が必要です。

4-3. 個人事業主の許可を法人に引き継ぐ制度

実務上、「認可の制度」を活用することで、個人事業主としての許可実績や営業年数を法人側で継続させる方法があります。これは通常の新規申請とは別の手続きで、行政庁との打合せや追加書類が必要となりますが、許可番号や営業実績の継続が可能です。つまり、個人事業で一旦許可を取ってしまって、法人設立後にその許可を法人に引き継ぐことができるのです。

5|法人化のタイミングと建設業許可の申請

5-1. 設立後すぐに申請するメリット

法人を設立してすぐに建設業許可を申請すると、決算前で書類が簡素化できるケースがあります。
例えば、決算書・工事経歴書の作成負担が軽減されます。

5-2. 決算後に申請する場合のデメリット

決算期を迎えてから申請すると、決算書や工事経歴の資料が必要となり、準備の手間が増えることがあります。

6|法人化時の実務上の手続き

6-1. 会社設立

法人化の第一歩は会社設立です。建設業を行う旨が定款に含まれているかを確認する必要があります。これは、許可申請の際に事業目的として建設業が記載されているかどうかが問われるためです。

6-2. 役員・資本金・本店所在地の決定

建設業許可を取得するためには、法人として

  • 資本金
  • 役員構成(経営業務管理責任者の確保)
  • 本店所在地

などの要件を適切に整える必要があります。例えば一般建設業許可では、自己資本額500万円以上(新設会社の場合は資本金500万円以上あればOK。ない場合は500万円以上の残高証明書)が求められます。

6-3. 社会保険の整備

法人は社会保険加入が原則義務ですので、法人化後は 健康保険・厚生年金・雇用保険等の手続きを忘れずに進めることが重要です。

7|許可の引き継ぎと二重申請の回避

7-1. 個人許可と法人許可の関係

建設業許可は個人事業主の許可と法人の許可は別物扱いになります。個人から法人へは自動的に引き継がれません。
したがって、タイミングを誤ると一時的に許可がない期間が生じ、業務停止のリスクが生じる可能性もあります。

7-2. 許可継続のためのスケジュール管理

許可番号を失わないように、法人化のタイミングと申請準備を綿密にスケジュール化することが不可欠です。専門家にスケジュール計画を相談し進めることをおすすめします。

8|個人・法人どちらで許可を取るべきかの判断

8-1. 小規模・低リスクなら個人のままでもOK

個人事業主でも、建設業許可を取得し、継続的な業務が可能です。特に売上規模が小さい場合や、当面法人化のメリットが薄い場合には、個人のまま許可取得を検討するのも選択肢です。

8-2. 長期的な視点なら法人化+許可申請

将来的に大規模案件を取りたい、財務面・継承面を強化したい、社会的信用を高めたいという場合は、最初から法人化して建設業許可を取得する方が合理的です。

具体的には、

ケース

個人

法人

元請契約を取りたい

事業継承

金融機関からの融資

社会保険対応

9|まとめ:法人化と建設業許可は計画的に進めるべき

法人化は単なる「組織変更」ではなく、建設業許可と密接に関わる経営判断です。
法人化のメリット・デメリットを十分理解し、時期・申請方法・許可の引き継ぎを最適化することが重要です。

以下の点をおさらいしましょう。

  • 法人化には法人設立の手続きが必要
  • 個人許可の引き継ぎは建設業許可の認可の手続きが必要
  • 申請タイミングと決算期は戦略的に
  • 法人化による財務面・信用面のメリットは大きい

法人化を検討しながら建設業許可を取得する場合は、
許可申請のプロと一緒に進めることが最短・最適な道となるでしょう。

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