個人事業主や一人親方でも建設業許可は取得できます!
この記事では、個人事業主・一人親方が建設業許可を取得する方法を徹底解説しています。個人事業主や一人親方が建設業許可を取る方法、許可をとるメリット・デメリットは?法人成した場合はどうなる?等、わかりやすく解説しています。
目次
建設業許可を取るとどうなれる?
建設業許可は500万円以上の建設工事を請け負う場合に必要になる許可です。
個人事業主(一人親方)のままでも何ら不都合はないけど、建設業許可を取ると何かメリットがあるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するメリットとデメリットを紹介します。
個人事業主(一人親方)が建設業許可をとるメリット
・500万円以上の工事を請け負えるようになる
・許可をもっていない同業者との差別化になる
・元請会社からの信頼が増す
・法人よりも許可申請手続きが簡単
・社会的な信用が高まる
・公共工事や大規模な仕事を請け負えるようになる
・採用や広報の観点で他社との差別化につながる
特に、「社会的な信用」については、「許可取得しただけで信用力が変わるの?」と思われるかもしれませんが、社会一般では許可業者の方が「ちゃんとしていそう」というイメージを持たれます。
個人事業主(一人親方)が建設業許可をとるデメリット
・許可取得や更新等、許可の維持費用がかかる
・毎年決算報告書の提出義務が発生する
・手続きの手間や費用がかかる
デメリットといっても大きなデメリットはなく、許可取得によるメリットの方が大きいといえます。
建設業許可の種類
建設業許可は大臣許可・知事許可、一般・特定の違いで申請すべき許可の種類が異なります。
それでは、順番に説明しますね。
⑴ 知事許可と大臣許可
建設業の許可には、知事許可(都道府県知事許可)と大臣許可(国土交通大臣許可)があります。
※ここでいう「営業所」とは、建設業法上の営業所の要件を満たした営業所のことを指します。○○営業所や○○支店という名前を付けていても、建設業法上の「営業所」の要件を満たしていなければ、建設業法上の営業所には該当しません。
⑵ 一般建設業と特定建設業
建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分されています。何が違うのかというと、工事の一部を下請けに出す際の金額の大小で一般か特定かが分けられています。具体的には下図のとおりです。
特定建設業は下請けに出す金額が大きくなります。万が一、下請け会社にお金が支払われなくなると共倒れのリスクが大きいですよね。そこで、一般建設業よりも特定建設業は要件が厳しくなっています。
特に注意が必要なのは、「指定建設業」です。
次の7業種については、施工技術の総合性等を考慮して「指定建設業」と定められているため、特定建設業の許可を受けようとする者の専任技術者は、一定の国家資格者(基本的に一級の国家資格)、技術士の資格者又は国土交通大臣が認定した者でなければなりません。
建設業許可をとるための要件
建設業許可を取得するには次の5つの要件を満たしている必要があります。
① 経営業務管理責任者がいる
② 専任技術者がいる
③ 誠実性の要件を満たしている
④ 財産的基礎の要件を満たしている
⑤ 欠格事由に該当していないこと
いずれの要件も満たしているかどうかの判断基準が細かく設定されているため、現状をしっかり確認する必要があります。
特に、①経営業務管理責任者がいる、②専任技術者がいる、③財産的基礎の要件を満たしている、の要件は非常に複雑で重要な要件となります。
① 経営業務管理責任者がいる
経営管理責任者とは?
⇒建設業について、経営の管理を適正に行うことができる方のことです。
具体的には、業務執行社員、取締役、個人事業主その他支店長,営業所長等の営業取引上対外的に責任を有する地位で、建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する方となります。
次のような方が経営業務の管理責任者(経管)になれます。
Ⅰ 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(例)建設会社の役員又は個人事業として5年以上の経験がある方
Ⅱ 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者
(例)建設会社で取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受けた経験のある方(例えば執行役員だった方)
Ⅲ 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
(例)資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の業務の補佐経験がある方
② 専任技術者がいる
工事が適正に契約され、適正に進められないと社会的損害になりますよね。そこで、専門的に施工を管理する能力がある人がいないといけないよ、という意味で専任技術者を置かないといけないことになっています。
次のような方が専任技術者(専技)になれます。
<一般建設業許可の場合>
Ⅰ 国家資格者
Ⅱ 指定学科卒業+3年又は5年以上の実務経験がある方
Ⅲ 10年以上の実務経験がある方
<特定建設業許可の場合>
Ⅰ 一級の国家資格者
Ⅱ 10年以上の実務経験+4,500万円以上の元請工事について2年以上の指導監督的実務経験のある方(※)
※ 指定建設業と呼ばれる土木工事業,建築工事業,電気工事業,管工事業,鋼構造物工事業,舗装工事業,造園工事業についてはⅡのパターンは使えません。
③ 誠実性の要件を満たしている
法人の役員等(※1)及び政令で定める使用人(支店長,営業所長等)又は個人及び政令で定める使用人(支配人)が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為(※2)をする恐れが明らかな者でないこと(※3)。
※1 「役員等」とは、相談役、顧問、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主(個人に限る)、出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者(個人に限る)、その他役職を問わず取締役と同等以上の支配力を有する者
※2 「不正又は不誠実な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等の法律に違反する行為や、工事内容、工期等請負契約に違反する行為
※3 建設業法、建築士法、宅地建物取引法等で「不正な行為」又は「不誠実な行為」を行ったことにより、免許等の取消処分を受け、又は営業の停止等の処分を受けて5年を経過しない者は、誠実性のない者として取り扱われます。
④ 財産的基礎の要件を満たしている
契約した工事を実際に施工するのに十分な財産的基礎がないと、施工が止まってしまったり、下請けにお金を払えなくなったりしますよね。そこで、請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること、が要件となっています。
一般建設業と特定建設業で大きく要件が異なりますのでご注意ください。
⑤ 欠格事由に該当していないこと
次のいずれかに該当する場合は,許可を受けられませんのでご注意下さい。
⑴ 法人・法人の役員等,個人事業主・支配人,その他支店長・営業所長等が,次に掲げる事由に該当しているとき。
イ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ロ 不正の手段で許可を受けたこと等により,その許可を取り消されて5年を経過しない者
ハ 許可の取消を逃れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
ニ 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき,あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき,又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ,その停止の期間が経過しない者
ホ 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり,又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
ヘ 建設業法,建築基準法,労働基準法等の建設工事の施工等に関する法令のうち政令(→建設業法施行令第3条の2)で定めるもの,若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し,又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ,刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
ト 暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)
チ 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令(→建設業法施行規則第8条の2)で定めるもの
リ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
⑵ 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり,又は重要な事実の記載が欠けているとき。
必要書類
申請時には下記のような書類を準備します。
※常勤性の確認資料…個人の場合は確定申告書の写し
※営業所在地の確認資料…営業所の外観、事務スペース内観、看板(表札)の写真
※財産的基礎の確認資料…一般建設業の場合は「残高証明書」、特定建設業の場合は「残高証明書+財務諸表」
※適正な経営体制の確認資料…確定申告書+経験年数分の注文書等(ご状況によって確認資料が変わります)
※専任技術者の実務経験の確認資料…国家資格者証、経験年数に応じた注文書等の写し
※保険加入状況の確認資料…従業員がいる場合は雇用保険の「直近の労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(写)及び領収書(写)」
手続きのフロー
ご自身で申請することも可能です。しかし、手続に慣れていないと役所担当者とのやり取りで墓穴を掘る可能性もあります。
この点、建設業許可に詳しい行政書士に依頼すれば、役所との協議も含めて安心して任せることができますし、申請までの時間も短縮することができます。
① 自分で申請する場合のフロー
↓
必要書類・情報の収集
↓
申請書類作成(申請窓口に相談しながら作成することも可能)
↓
申請窓口に申請書類を提出(予約制の場合が多い)
↓
不備等があった場合は補正対応
↓ 約1か月後
許可通知書の発行
② 行政書士に依頼する場合のフロー
↓
必要書類のご案内・収集・書類作成
↓
申請窓口に申請書類を提出
↓ 約1か月後
新しい許可通知書の発行
費用
申請の際に必ずかかる費用が申請手数料の90,000円です。
【支払方法】
その他、添付書類で公的書類(登記されていないことの証明書や身分(身元)証明書など)を取得する場合にはその取得費が数百円程度かかります。
行政書士に依頼する場合には、行政書士への報酬が別途かかります。一人親方の場合、行政書士費用の相場は120,000円ほどとなります。報酬額で選ばず、コミュニケーションがスムーズか、実績が豊富か、建設業許可に詳しいか、御社の経営参謀としてふさわしいか等の観点で行政書士を選びましょう。
許可を取った後に法人成りした場合はどうする?
一人親方として建設業許可を取った後に、法人化しようと考えた場合、一人親方として取得した許可はどうなるのでしょうか?法人化するわけですから、法人に引き継ぎたいですよね。
この場合、引き継がせるために二つの方法があります。
① 法人として新たに新規許可申請をする
② 建設業許可の認可申請をする(新しい方法)
<① 法人として新たに新規許可申請をする>
一人親方として新規許可申請をしたときと同じように、法人として改めて許可申請をする方法です。この場合、新規申請となりますので、改めて申請手数料90,000円を払う必要がありますし、行政書士に依頼する場合には行政書士への報酬も発生します。
<② 建設業許可の認可申請をする(新しい方法)>
認可申請は令和2年10月1日施工の建設業法改正から新たに認められた申請方法になります。法人化等、前の建設業者の地位をそのまま承継したい場合には、この認可申請をすることができます。認可申請の場合、申請手数料が0円であることがメリットとなります。
法人成りする方法
法人成りするには下記の様な法人設立の手続きをすることになります。
・定款作成
・定款認証(合同会社の場合は不要)
・設立登記
・設立届の提出(税務署・都道府県・市町村)
・社会保険加入手続き
・労働保険加入手続き
・金融機関で口座開設
・法人クレカの作成
・契約関係を法人名義へ変更
法人化のメリット・デメリット
現在一人親方の方の中には「いずれは法人化をしようか悩んでいる」という方もいらっしゃるかもしれません。法人化するメリット・デメリットには下記のようなものが挙げられます。
まとめ
個人事業でも建設業許可を取ることは可能です。建設業許可の申請にはたくさんの準備が必要となります。自身がない場合や時間がない場合には、一度建設業専門の行政書士に相談されることをお勧めします。
是非、この記事を参考にしていただき、許可申請の準備を早めに進めていただければ幸いです。
建設業許可のご相談はお任せください
「よくわからない」という方は無料相談(初回のみ)を承っております。是非弊社の無料相談をご活用下さい。
【記事の執筆者】
無料で相談してみる
☎022-212-5880
今すぐお気軽にお電話ください。
専門家がわかりやすくていねいに対応いたします