
結論から言うと、建設業許可が取れない理由は大きく分けて (1)要件不足 と (2)要件は満たしているが“証明できない” の2つです。特に後者(証明不足)は、対策次第で状況が変わることが少なくありません。
この記事では、「建設業許可が取れない理由」→「具体的な対策」→「再チャレンジの手順」まで、実務目線で網羅します。
目次
建設業許可が取れないときにまず確認すべき“全体像”
建設業許可(新規)が取れない理由は、実務上つぎのパターンに集約されます。
- 常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)がいないor証明できない
- 専任技術者がいないor証明できない
- 財産要件(自己資本500万円or残高証明500万円)を満たせない
- 税金・社会保険の滞納などで書類が出せない
- 欠格要件に該当している(または虚偽・重要事項の欠落)
- 過去の違反や虚偽記載が絡み、申請自体が危険
特に「要件は聞いたことがあるけど、何が足りないのか分からない」という方は、まずこの6分類で自分がどこで詰まっているかを見極めるのが最短です。
【最頻出】建設業許可が取れない理由① 常勤役員等(旧:経管)がいない/証明できない
「建設業許可が取れない」で最も多いのが、常勤役員等(経管)の要件です。
1-1.「5年の経営経験」が足りない・証明できない
典型例はこの2つです。
- そもそも5年に達していない
- 5年に達していても、建設業の“経営”として証明できない
「会社設立から5年」や「個人事業歴が長い」だけでは足りず、その期間に実際に建設業に携わっていたことを証明する必要がある、という点でつまずきます。
対策
- 自分で5年を積む(最も安全)
- 経験者を役員に迎える(ただし、外部から役員を迎えたが継続性が問われる点は注意が必要です。)
1-2. 前職の会社が協力してくれない問題(書類が揃わない)
経管経験を前職で積んでいる場合、証明に注文書・請求書・通帳入金などが必要になることがありますが、前職の会社が協力してくれないケースがあります。
対策
- 自社で実績と書類を積み上げる(時間はかかるが安心確実)
- 代替資料の組み合わせを検討(自治体運用差が大きいので要相談)
1-3. 前職の登録を外してもらっていないため登録できない
前職の会社が経管・専技の「外し忘れ」をしていて、役所のデータベース上、登録がのこったままで新規に登録できないことがあります。
この場合、原則として前職側の手続が必要になりますが、前職の会社で代わりの人を立てられない場合は外したくないと告げられる恐れがあります。
建設業許可が取れない理由② 専任技術者がいない/10年実務を証明できない
経管と並ぶ“二大詰まりポイント”が、専任技術者です。
2-1. 資格がない/該当資格者が社内にいない
資格(施工管理等)があれば比較的スムーズですが、資格者不在だと基本的には「実務経験10年」コースになります。
2-2. 10年実務の証明が“困難を極める”
実務経験の証明で多いのが以下。
- 発注書・請求書などを捨ててしまった
- 以前勤めていた会社と連絡が取れず、証明書を作れない
さらに自治体によっては、かなりの量(例:月1枚以上の請求書+通帳入金確認などを120か月分)を要求されるケースがあり、ここで「取れない」と判断されます。
対策
- まず資格取得ルートを検討(時間はかかるが最終的に強い)
- 旧勤務先の在籍証明(年金記録等)と能力証明(請求書等)を分解して集め直す
- 「人工出し」や「点検」など、建設工事としてカウントできないものは証明書類として否認される点に注意
建設業許可が取れない理由③ 財産要件(500万円)を満たせない
新規一般建設業の典型は、「自己資本500万円以上がない、または、500万円以上の残高証明書を発行できない」というパターンです。
3-1. 通帳残高が足りない
申請時点での資金要件を満たせずストップするケースです。
対策
- 資金調達・増資・融資など、要件充足のルートを具体化
- いつの時点の残高が必要か(タイミング)を逆算して準備
※細かな運用は自治体差があるため、ここは“要件を満たす設計”が重要です。
建設業許可が取れない理由④ 税金・社会保険料の滞納で書類が出せない
実務で多いのが、納税証明や社会保険の領収書等を提出できないパターンです。
「要件は満たしているのに、書類が出ない」ために止まります。
対策
- まず滞納解消(分納相談を含む)
- 提出が必要な証明書を“申請前に”洗い出して、取得可否を確認
建設業許可が取れない理由⑤ 欠格要件に該当している(または虚偽・重要事項の欠落)
欠格要件は、他の条件を満たしていても 1つ該当すれば許可が出ません。
5-1. 欠格要件の典型例
- 破産して復権していない
- 許可取消から一定期間が経過していない
- 禁錮以上の刑や一定の法令違反罰金から一定期間が経過していない
- 暴力団関係 等
5-2. “虚偽記載”や“重要事項の欠落”があるとアウト
欠格要件とは別に、申請書や添付書類に虚偽がある/重要事項が欠けている場合も許可されません。
【要注意】違反・虚偽が絡むと「最悪5年間申請できない」ことがある
「とにかく通したい」と焦って、書類の整合性が取れないまま提出すると、取り返しがつかないリスクがあります。
書類不備や虚偽記載が致命的になり、最悪の場合5年間申請できなくなる可能性があります。
つまり、「建設業許可が取れない」状態でやってはいけないのは、
- つじつま合わせの虚偽
- 書類の“借り物”や名義貸し的な設計
- 不備のままの突撃申請
です。ここは本当に慎重に行くべきポイントです。
「建設業許可が取れない」と言われたのに、事務所によって判断が変わる理由
「A事務所で無理と言われた」
「B事務所なら取れると言われた」
このように判断が分かれるのはなぜか?
許可取得の可否判断が分かれる理由として大きく次の3点が挙げられています。
- 行政書士事務所のスタンス(簡単案件だけ/建設業特化など)
- 過去在籍会社で積んだ実務経験の証明が最大の分岐点になりやすい
- 自治体運用(自治事務)の差により、求められる証明の厳しさが変わる
特に「過去の実務経験の証明」は、書類の集め方・代替資料の設計で可能性が変わるため、ここが“セカンドオピニオン”が効く領域になりやすいです。
建設業許可が取れないときの“対処ロードマップ”
ここまでの原因を踏まえ、次の順で進めると整理が楽になります。
ステップ1:取れない理由を「6分類」に当てはめる
- 経管(常勤役員等)
- 専技
- 財産
- 納税・社会保険
- 欠格・虚偽
- 証明不足(書類がない)
特に「要件不足」か「証明不足」かを分けます。
ステップ2:不足している“条件”を満たすのか、“証明”を作り直すのか決める
- 条件が足りない → 役員体制/採用/資金等を設計
- 条件は足りるが証明できない → 書類収集/代替資料/運用確認を設計
ステップ3:やってはいけないこと(虚偽)を避け、申請戦略を組む
虚偽・不備は取り返しがつかないリスクがあるため、ここは最優先で回避します。
申請前に準備しておくべき代表的書類(“取れない”を防ぐ)
状況により変動しますが、少なくとも以下は“事前に集められるか”を確認しておくと事故が減ります。
- 経営業務(常勤役員等)の証明書類
- 専任技術者(資格・実務経験)の証明書類
- 財務書類(決算書・残高証明等)
- 事務所(営業所)の確認資料(使用権限・設備等)
- 欠格要件に関する確認資料(登記されていないことの証明書・身分証明書)
「書類が揃うかどうか」で結果が決まるケースが多いため、“作る”のではなく積み上げてきた証拠を“整える”意識が重要です。
それでも建設業許可が取れない(取れなさそう)場合の現実的な選択肢
最後に、「今すぐ許可が必要なのに、どうしても取れない」局面の考え方です。
選択肢A:要件を満たすまで“期限”を決めて準備する
- 経管の年数が足りない
- 専技の証明が足りない
この場合、いつまでに何を揃えるかを工程化し、許可が必要な案件の受け方を調整します。
選択肢B:体制(役員・技術者)を設計し直す
採用や体制変更で要件を満たすルートはありますが、形だけの登用はリスクがあるため、実態設計が必須です。
選択肢C:セカンドオピニオンを取る(特に実務経験証明が争点なら有効)
「過去在籍会社の実務経験の証明」や「自治体運用差」が絡むと、知見差で判断が割れることがあります。
まとめ|「建設業許可 取れない」は、原因特定でほぼ解決ルートが見える
- 一番多いのは 経管(常勤役員等) と 専技
- 次に多いのが 財産(500万円) と 滞納で書類が出ない
- そして最重要注意点が 欠格・虚偽(最悪5年不可)
「要件不足」より「証明不足」の方が、対策で変わることがある
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